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第7回目医療事故
医療事故ではないか?と思ったら
1. 「病院に行けば治る」は正しくない
1 医師の仕事は結果が出るように努めること
2 医師の仕事を正しく理解しましょう
実は、医療事故の相談に来られた相談者の方のお話を聞いていて、「お気持ちは理解できるが、裁判ではおそらく勝てないだろう」と思われるケースが決して少なくありません。
そういうケースでは、相談者の方は、「病院に行けば治るのが当たり前」「お医者さんは病気を治すことが仕事」だと思っていることがかなり多いという印象です。
しかし、ここはぜひ多くの方に誤解なく知っておいてほしいところです。
医師の仕事は、結果を出すことが求められているのではありません。結果が出るように努めることが求められているのです。
1 医師の仕事は結果が出るように努めること
当たり前のことですが、医師は万能ではありません。どんな病気やけがも必ず治せるというわけではありませんし、病気やけがをする前の体に完全に元に戻すということは、はっきりいって不可能です。
法律の世界では、結果を出すことを約束する契約のことを「請負」、結果ではなく行為を依頼する契約のことを「委任(*)」といいます。
(*正しくは、委任とは、法律行為を依頼する場合を指し、それ以外の行為を依頼する場合は「準委任」と言います。)
医師との診療契約は、準委任契約であると理解されています。これは、医師の仕事が、「治るという結果を出す」ことを求められているのではなく、「治るという結果が出るように努めること」が求められているということです。
2 医師の仕事を正しく理解しましょう
患者の立場にある一般のみなさんは、病院で診てもらうとつい「苦しい状態を完全に治してもらえる」と思いがちです。
苦しい思いをしていれば、そこから逃れたいと思うのが人間ですから、お気持ちは理解できます。
しかし、「治る」という結果を求めてしまうことは、医師に不可能を強いることになります。そしてそれは、結果として、医師が一生懸命対応し、最善の努力をしてくれていたとしても、その医師を悪く見てしまうことになってしまいます。
このような誤解は、誤った医療事故の疑いにもつながりかねませんし、それ以前の、診療のときの医師との良好なコミュニケーションを阻害する要因ともなってしまうのです。
医師も決して万能ではないということ、医師にもできることとできないことがあるということを正しく理解しておけば、病気やけがになったとき、より前向きな気持ちを持つことができるようになると思います。
この「医師は結果を出すことが仕事ではない」ということは、医療事故かどうかというよりもずっと前の段階の、病院で診療を受けるにあたっての前提として、ぜひ覚えておいていただきたいところです。
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- 掲載日:
- 2022年10月27日
- 監修者:
- 川島 英雄 弁護士