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こんなときどうすればいい?

こんなときどうすればいい? 生活の身近な問題から、人に相談しにくいことまで、弁護士がアドバイスします。

第6回目解雇されたらどうするの?

03解雇のあれこれ

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1. 解雇のあれこれ -正社員について-

(1)解雇の種類

 このページでは,一般に正社員と呼ばれる労働者の解雇についてお話します。
(なお,定年のみが定められている場合は,期間の定めのない労働契約にあたります。)
 正社員に対する解雇の態様としては,類型化すると,以下の3つの態様が考えられます。

 一般の解雇事由に該当するとして解雇される「普通解雇」
 会社の秩序を乱し,それが著しいとして解雇される「懲戒解雇」
 会社の経営が傾き,建て直しのための人員整理として行われる「整理解雇」

 それぞれの解雇によって,実施される場面が異なりますし,また,解雇によって退職金や解雇予告手当どうなるかという点も異なることがほとんどです。よって,どのような解雇が言渡されたのかによって,労働者の対処方法が異なります。ですから,解雇の種類に対する判断を誤ると,解雇無効を求めてやってきたことがまったくの的外れだったということになりかねません。なお,これらのいずれにあたるかは,法律的にどれにあたると考えられるかによって決定され,会社がどのような名称で解雇をしたかによって決定されるものではありません。ですから,どの解雇にあたるのかが,会社の言い分によって確定するということもありません。
 労働者の解雇にあたっては,どの解雇にあたるかが微妙な判断になることも少なくありませんので,自己判断で手続き等を進めたりせず,一度は弁護士に相談することをお薦めします。

(2)普通解雇

 会社には,原則として一定の事由がある場合の「解雇権」が認められています。労働契約は会社と労働者の間での契約ですから,その一方当事者である会社には契約を解除できる場合があるのです。
 ただし,会社と労働者の力関係の問題から,解雇権の行使,すなわち,雇用契約の解除についてはかなり強い制限があります。法律上,解雇は「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合」には認められません(労働契約法16条)。
 労働者が普通解雇を言い渡された時には,多くの場合,この条件を満たしているかが争いになります。もちろん,この条文は抽象的なので,実際には,多くの裁判例などを踏まえて,条件を満たしているかどうかを判断することになります。
 どのようなことが,条件を満たす方向に働き,労働者として主張すべきであるのかは,個別の事案によって異なり,一概にいえるものではありません。各事案における判断については、弁護士に相談されることをお薦めします。

 なお,普通解雇をする場合には,解雇の1ヶ月前までにその旨を労働者に通知しなければならず,予告せずに解雇するには解雇予告手当を支払う必要があります(労働基準法20条1項)。また,退職金についても,通常通り支払われることが多いです。

(3)懲戒解雇

 懲戒解雇とは,会社に損害を与えた場合など,会社の秩序を乱す行為を労働者が行った場合に,それに対する制裁として解雇が行われるものです。解雇を行うものであるため,会社の行う懲戒処分の中でもっとも重い処分となります。
 懲戒解雇を行うには,まず,就業規則へ記載されていることなど,手続きに不備がないことが必要です。また,もちろん,懲戒事由が存在しなければなりません。さらに,懲戒を行うことが「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合」には、懲戒は無効になります(労働契約法15条)。
 この文言だけ見れば普通解雇の場合と同様ですが,実際の判断においては,それぞれの解雇が実施される場面が大きく異なるため,相当性を判断する際の要素も同じではありません。一例としては,懲戒解雇は複数段階ある懲戒処分の一種であるため,他の懲戒処分との比較という視点が加わったりします。懲戒解雇においても,相当性を基礎付ける事情は事案ごとに様々であり,各事案における判断は弁護士とよく相談した上で行うことが望ましいといえます。

 懲戒解雇を行う際には,普通解雇の場合と異なり,解雇予告手当が支払われないのが原則となります。また,退職金についても,減額,あるいは不支給となることが少なくありません。
 なお,懲戒解雇を行う際には,普通解雇の場合と異なり,解雇予告手当が支払われないことが多いと思われます。また,退職金についても,減額,あるいは不支給となることが少なくありません。

(4)整理解雇

 整理解雇は,会社の業績が振るわない場合などに,赤字の補填として人員の削減を行う際に行われる解雇です。一般的にはリストラと呼ばれるものです。
 これまで述べてきた普通解雇や懲戒解雇は,会社が労働者側に理由があることを前提に行うものであったのに対し,整理解雇は会社側の都合で行われます。
 したがって,解雇を認めるかどうかの判断基準も厳しいものとなっており,整理解雇特有の判断基準が適用されています。
 具体的には,業務上解雇の必要性はあるか,解雇を回避する努力はなされたか,解雇する人員の選抜方法に問題はないか,解雇を行うにあたって適切な手続きが実施されたかといった点を考慮して判断されることになります。
 もっとも,実際に解雇の有効性を判断するにあたっては,どの点を重視するかなど様々な考慮要素が存在します。自らの争い方を判断する際には,弁護士にご相談された上で決断されることをお薦めします。

こんなときは、どうするの?
Q

 風邪を引いて倒れてしまい,会社への連絡なく1日休んでしまったところ,これを理由に懲戒解雇といわれました。風邪で休んだだけでクビになるなんて納得できません。どうすればよいでしょうか?

 
A

 無断欠勤は懲戒解雇事由になりえるものであり,大抵の会社では懲戒事由として定められています。しかし,ほんの1.2日休んだだけで解雇となるのは厳しすぎると考えるのが一般的です。したがって,詳しい事情による部分は多いですが,懲戒解雇まで行う場合には,ほんの1.2日無断欠勤しただけでは社会的に相当であると認められない可能性が高いと考えられます。

 
Q

 会社からリストラを言渡されました。でも,会社の業績が悪くなったとは聞いていませんし,去年はボーナスも出ていました。こんな状況でもリストラは認められるのでしょうか?

 
A

 上述した要素のうち,整理解雇の必要性がないことが疑われる事案だといえます。整理解雇には,赤字の状況で経費削減のために行うものと,より強い会社組織を作るためと称する積極的なものがあります。
 この,積極的整理解雇は,簡単に認められるものではありません。このような状況になった場合には,早めに弁護士に相談されることをお薦めします。

 
2. 解雇のあれこれ -非正規社員-

 会社が労働者を解雇する場合に,期間の定めのない労働者(正社員)と期間の定めのある労働者(非正規社員)では,法律上の取扱いに異なる部分があります。
 普通解雇・懲戒解雇・整理解雇があることは,非正規社員でも正規社員と変わりません。ただし,非正規社員はそもそも会社における必要人員の増減に対応するために雇用期間が柔軟であるとして非正規社員としての契約がされているという性質もあり,正規社員よりも解雇の有効性が認められやすい傾向にあります。
 また,非正規社員については,「労働契約期間終了」を理由として会社からの退職を求められることがあります。
 労働契約で定められた期間が経過すれば,その契約そのものは終了することになります。したがって,労働者を会社が追い出したい場合に,会社が行うのは,解雇ではなく労働契約の更新の拒否となるのです。この労働契約更新の拒否は「雇い止め」と呼ばれています。
 ただし,雇い止めについても,期間雇用の契約が複数回更新されていることなどを条件として通常の解雇と類似した取扱いを行うこととされています。したがって,雇い止めの場合にも,「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合」には,雇い止めは無効となります。
 この場合には,契約更新拒否が無効になりますので,契約がそれまでと同条件で更新されることになります。

3. 退職勧奨

 退職勧奨とは,会社が解雇という言渡しはしないものの,労働者に辞職するように様々な働きかけをすることをいいます。
 退職勧奨にも様々なパターンがあります。上司が自分の気に入らない部下に対して,「お前のいるところはうちにはないんだ,どうすればいいかわかるよな?」などと言って辞職を暗に求めるようなものもあれば,女性に対して結婚を気に「うちの会社は結婚したらみんな辞めることになっているんです。」などといわれることもあります。もっとも,退職勧奨は会社が労働者に対して退職を勧めるだけで強制力はありませんから,会社が退職勧奨を一度しただけで違法とはなることはありません。
 さて,退職勧奨は,会社は働きかけこそするものの,最終的には労働者が自ら会社を辞める形を取ります。したがって,会社としては自分でやめたじゃないか,と言いやすく,また,特に問題のない社員に対しても行うことができるため,その対象や方法は様々です。
 しかし,そもそも解雇事由があるならば,会社は解雇を言渡せばよいのであり,退職勧奨は,解雇する理由はないけど気に入らないから追い出したい,という場合に行われることも多いものです。退職勧奨は所詮,会社が退職を勧めているに過ぎないので,労働者が会社の退職勧奨を受け入れなければならないなどということはありません。辞めるつもりがないならば,きっぱりと辞めるつもりはないと答えるべきです。
 また,原則として退職勧奨は適法ですが,退職勧奨が行き過ぎて,労働者に対する過度の干渉になった場合には,退職勧奨を理由とする慰謝料等が発生することもあります。
 きっぱりと断ってもしつこく退職勧奨が続くようであれば,弁護士に相談して,対処を検討することをお薦めします。

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掲載日:
2022年10月4日
監修者:
川島 英雄 弁護士

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