世論調査の謎
昨年は特定秘密保護法の成立など、政治の動きが大きく変化した年となりました。新聞やテレビでも、政治の動きについての報道が多かったと思います。
ところで、通信社や各新聞社、テレビ局などがよく世論調査を実施してその結果を公表していますが、みなさんはその結果に疑問を感じたことはないでしょうか?
個人的には、個別の政策についての設問については否定的な意見が多いのに、なぜか内閣支持率が高いままであるというのが不思議でした。(もっとも、この点については、経済政策さえうまくいっていれば他の政治課題はあまり問題ではないと考えている人が意外と多いのかもしれませんが。)
実は、世論調査は、結果を誘導することが可能なのです。その方法は、質問の仕方を工夫することです。
例えば、「あなたは内閣を支持しますか?」と尋ねる場合と、「内閣は強行採決などで批判も受けていますが、他方で経済政策により景気は確実に上向いているようです。あなたは内閣を支持しますか?」と尋ねる場合を比べてみてください。
後者で使用している逆接表現は後半部分を強調する効果があるので、前者に比べて後者では内閣の功績を強調する文章となっています。
こうした表現で質問されてしまうと、質問された人の心理としては「内閣はどちらかというとよいことをしているのかな」と思ってしまうことになるのです。
また、質問の並べ方を変える方法もあります。同じ「あなたは内閣を支持しますか?」という質問でも、第1問目で質問する場合と、この質問の前に内閣の功績を強調する質問を並べてから最後に質問する場合では、後者の方が内閣を支持する方向へ傾ける心理効果があります。
このように、世論調査は結果を誘導することが可能なものです。ですから、結果だけを鵜呑みにしてしまうことは非常に危険なのです。
マスコミが行う世論調査の結果を見るときは必ず質問項目まで見るようにする習慣を、多くの人にぜひ身につけていただきたいところです。
また、マスコミの関係者の方には、世論調査の結果を公表する場合には必ず質問項目を全文掲載することをお願いしたいところです。