経験を生かすこと
私は、弁護士会の草野球チームに所属しています。
野球は、観戦するのも好きですが、小学校のころからずっとやってきていたので、今でも自分で野球をすることが好きで、毎週土曜日の練習に積極的に参加しています。
「小学校のころからずっとやってきた」というと野球がうまいと思われるかもしれませんが、私は高校の部活まで、決して強豪とはいえないチームの補欠でした。小学校から高校まで毎日必死に練習を続けてきたつもりでしたが、結果を出すことはできませんでした。ただ、今思うと、「努力すれば結果がついてくるとは限らない」ということを学ぶことができたのかな、という気もします。
さて、では今のチームではどうかというと、さすがに10年以上も野球を経験してきましたので、今の草野球チームではスタメンに名前を連ねることが多いです。
もっとも、今こうして万年補欠ではなくなった理由は、練習をたくさんしてきたから他の人より技術的に優れている、という単純な理由だけではないと思っています。
高校のころまでは、とにかく毎日ひたすら練習をして、単純にうまくなることばかりを追い求めていた気がします。しかし、現役の野球部を卒業してから自分を振り返ってみると、「自分の長所や短所をわかっていなかったのではないか、そのため自分に合った練習ができていなかったのではないか、自分の意識の持ち方や工夫が足りなかったのではないか、だから努力の仕方も正しくなかったのではないか」と考えられるようになりました。これは、高校時代までの私には決して考えられなかったことです。
こうした「心に余裕をもち、第三者的な目線から自分を振り返る」ということは、一定の経験を重ねた後に初めて可能なのかもしれません。そう考えると、私は、ただひたすら練習を重ねていた高校時代を終えたことで、ようやく自分の野球能力を生かせるようになったといえるのかもしれません。
よく、ベテランの人に対して抽象的に「経験が豊富である」といわれることがありますが、私は、「経験」とは、単に「体験の数が多い」ことを意味するのではなく「体験したことをうまく生かせるようになること」なのではないかと思います。
野球に限らず、今後は仕事も含めたいろいろな面で、うまく「経験を生かして」いけるようにしたいと思います。