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コラム

 

中年ライダーの自転車物語 その1(昔話)

2011年11月25日
弁護士  太田 賢二   プロフィール

 去年の春頃のこと。同い年弁護士から、「自転車チームを作るので入らない?」と誘われて、「いいよ。野球があるから、あんまし出られないけどね。」、と軽く答えていた。ところが、蓋を開けてみると、なんと僕をチームのリーダーにまつりあげている!!
 

 チームメンバーは、その彼がトライアスロンをやるほか、かなり本格的な自転車乗りが数名。乗っているバイクも高価なロードレーサーばかり。バイクをマシンと称する「オタクもどき」も若干名。
 

 一方僕のバイクは、20年前に結婚したときに、元ボスにお祝いとして買っていただいた折りたたみのクロスバイクだけ。口の悪いというか、バイクの価値のわからないチームメンバーには、「こういっては何だが、スーパーかホームセンターで売っていそうな」などと言われてしまうしろもの。しかも僕は、バイクの組み立て、輪行どころか、パンクの修理もようわからない。
 

 そんな自分の自転車物語をひもとくと・・・。

 

 

 初めて自転車に乗ったのはいつだろう。歳は覚えていない。幼稚園の頃だった様に思う。兄貴のお古の青い自転車に恐る恐る乗ったのははっきり覚えている。当然補助輪付き。うまく乗れて、その場で補助輪の一つをはずした。それも大丈夫。それでさらにもう一つの補助輪もはずしたけれども、これはアウト。しばらくは、補助輪一つで乗っていた。

 

 自転車での思い出は結構ある。

 

 たしか小学校2、3年生のときに、近所で、友達とブレーキかけない競争をしたことがあった。このとき最終コーナー(実は家の真ん前)で、トラックの前輪に自転車ごと衝突。自転車は、ガチャクチャになったもののとっさに飛び降りて、怪我はなし。ひどくおふくろに怒られた記憶がある。

 

 中学生1年の頃には、友達と石川県と富山県の県境にある倶利伽羅峠まで遠出をしたことがある。家から時間にして2、3時間だったろうか。峠というとおり最後はメチャクチャな上り坂。とにかく最後まで自転車を降りないで登り切った。問題は帰り道。下りだから当然スピードが出る。それなりに注意をして乗っていたのだが、下りきってちょっと気がゆるんだのか、歩道と車道の境界ブロックに乗り上げて、大転倒。幸いかすり傷くらいで済んだけれども、結構こわい思いをしたもんだ。

 

 その後は、高校時代に自転車通学をしたくらいで、特段の思い出はしばらくなかった。車の免許を取って、原付バイクや車ではいろいろあったけれど、自転車は、まあもう昔の乗り物、という感じだったのだろう。
 

 ところが大学も卒業間近になり、司法試験を目指す決意をした頃、無性に「自転車に乗りたい!」と思い始めた。きっかけはなんだったのだろう。オリンピックに日本の女子選手が出場するということだったかもしれない。とにかく、かっこいい自転車に乗りたくなった。これが高校生や大学入学直後であれば、友達でも誘って一緒に乗ったのだろうが、すでに同級生は卒業して就職している。今更誰も相手にしてくれない。でもどうしても自転車に乗りたくて、自分の貯金をおろして、赤とシルバーのツーリング用の自転車を買った。それで試験勉強の合間に結構乗って回った。一度は、夏に金沢から京都まで乗っていったこともある。

 

 司法試験に受かる前の年。論文試験(これが一番の難関)の発表にあわせて、一人で金沢から二泊三日の能登半島一周のサイクリングに行った。最終日は、土砂降りの雨の中家に戻った。そこに届いていたのは、論文試験不合格の通知だった。自分では、当然だと思っていた。そして、来年こそという決意。

 

 司法試験に合格すると、司法修習生と言って、一時期東京で勉強することがある。当時修習生の寮があったのは、千葉県の松戸。当然愛車である自転車を持っていった。そこから東京の街中にも何度か行ってみたし、成田空港の横を通って、銚子市まで行ったこともある。本格的なサイクリストではなかったけれども、自転車は大好きだった。修習生仲間で、ニックネームがついたのが、「トライアスロン・フトッタ」。それも、自転車を寮にまで持ち込んでいたこともあったのだろう。

 

 この愛車を、北海道まで持ってくるシステムがよくわからず、札幌へ来るときに、弟に渡すことにした。これで、しばらくは自転車に乗ることはなくなった。

 

                                                       (続く)

  

 

 

 

 

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