亜林さんの結婚披露宴でのお祝いの言葉
渡辺麻里衣さんに続き、先日、高橋亜林さんも結婚披露宴を執り行いました。とはいうものの亜林さんは、事務所報「おおぞら」でもご自身でご報告しているとおり、昨年5月にすでに入籍をされています。
当日は、新郎・新婦のお人柄が現れた、素敵な披露宴でした。
私からのメッセージをお届けします。
* * *
すでにご紹介の通り、新郎・新婦は、お二人とも弁護士です。
そして、今ほども弁護士のスピーチでした。
さてこの段階で、みなさんの弁護士に対するイメージはいかがでしょうか。
やっぱり、すごい、立派だ。ですかね。
予想通り、理屈っぽい、くどい、とか。
あるいは、長い、早く終わらないかなあ、だったりして。
いずれにせよ、弁護士って、みんなこんな感じ?
私の知っている亜林さんも、ああなるのかな、ではちょっと寂しい。
こんな雰囲気の中でのスピーチは、結構なプレッシャーです。
さて私が始めて亜林さんと会ったのは、一昨年の1月です。
そのとき司法修習生に対する就職説明会がありまして、確か亜林さんは真っ先に私たち札幌おおぞら法律事務所のブースに飛び込んできました。
飛び込んできた割には、変にかしこまったり、高揚するわけではなく、むしろ、おっとりとした口調で、「高橋といいますが、お話きかせてください」という感じでした。
でもこんなとき、落ち着いているようで、実は頭の中は真っ白、ということを後でご本人からお聞きしました。
その日、何人かの修習生と一緒に事務所を見学してもらいました。
そうそう、そのときすでに、亜林さんを追いかける新郎も一緒にいらっしゃいました。
弁護士となった亜林さんは、最初半年あまり、私と机を並べて仕事をしてきました。まあ、見習い期間ですね。それで最初は、私と一緒に依頼者との相談・打合せを行います。
依頼者から話を聞く、ということは弁護士の仕事の基本ですが、実は結構難しいことです。なぜなら、依頼者というのは自分の身に起きた出来事を生のまんまぶつけてくるからです。これを整理するのがかなりやっかいです。法律の知識だけではどうにもなりません。ですから、弁護士に成り立ての頃は、ボス弁、兄弁と依頼者の話をメモを取り、ある程度事情を整理してから質問をしたりするものです。
ところが、亜林さんは違いました。
最初から、私の話に割って入ってくるのです。
「お、積極的だな」というよりも、「おいおい、大丈夫かよ」というくらい。
とにかく亜林さんは、目の前で相談がされていると、こう、自分から話をせずにいられない、という感じでした。
またつい先日、北海道建設アスベストという裁判を起こしました。
この裁判は、解決への見通し自体が難しく、しかも弁護団は、約60名と大所帯です。
弁護士というのは、正直、わがままの集まりです。一筋縄ではいきません。
そんな弁護士を何とかまとめようとしているとき、亜林さんから、「弁護団を作っていくことをいろいろ手伝いたいです。」と、言い出しました。
ちょっと、びっくりでした。
結局亜林さんは、困っている人を見てしまうと、何かしたい、自分が何かできるかもしれない、そんな思いが先に立ってしまうのです。
それは、弁護士として、とっても大切な感覚です。
まあ、だからこそ、失敗もありました。
アスベスト訴訟では、提訴の日が迫ってきても、何をどうしたらいいかわからず、右往左往していました。
また、ある事件の相手方と、電話ですっかりうち解けたかに思えたのですが、あるときから徹底的に「しかと」されて、苦労したこともありました。
もちろん親身に共感して仕事に取り組む姿勢は、たくさんの依頼者から信頼され、大変感謝されています。
そうして半年を経過した頃から、亜林さんはずいぶん遅くまで残って仕事をすることが多くなりました。
ときどき、事件のことで思い悩む姿も見受けられました。
そんな亜林さんは、今、一生懸命まっただ中の弁護士2年目です。
私がもっとも影響を受け、尊敬する弁護士は、「弁護士として、右も左もわからない、1年目2年目が、一番力を付けることになるよ。」とおっしゃっていました。
大丈夫、今、亜林さんは間違いなく、弁護士として、一人の人間として、確実に、成長しています。
亜林さんは仕事のこと以外でも、ときどきご両親のことや妹さんのことをお話ししてくれます。
また新郎とのことについても、「これから一緒に食事をして帰ります」とか、「今日待ち合わせなんです」ということを聞くと、ああ、ちゃんと仲良く暮らしているのだな、と安心しました。
ご家族のことをお話しするときの亜林さんはちょっと照れくさそうで、でも、とってもかわいい笑顔を見せてくれます。
そんな亜林さんは私たちの信頼できる大切な仲間であり、みなさんに安心してご紹介できる素敵な女性です。
さて、二人はすでに入籍されてちょうど1年が経過しています。
そんなお二人に、多少人生の先輩としてのアドバイスをひとつだけ。
一緒にいると、相手の嫌なことも結構でてきますよね。
朝起きたとき、帰宅したときなどのちょっとしたふるまいだったり。
すき焼きやお雑煮に何を入れるかなんて些細なことでもびっくりしたことがあるかもしれません。
そんなとき、相手にあわせることよりも、まず自分を大事にしてください。
自分のことを大切にできずに、人のことなど大切にできるはずがありません。
先日、イギリスのロイヤルウェディングの様子が長々とテレビ中継されていました。私のかみさんは、それをうっとりと見ていました。
私はというと、その横で、内心「今日の野球はどうなったかなあ。」なんて思いながら、テレビとかみさんの顔を交互にみていました。
全然違うことですが、今回の震災の件で、私は先日来2回、三陸沿岸に行ってきました。被災地は少しずつ前を向こうとしています。
むしろ私が被災地の笑い声に元気をもらってきました。
そんな中、こんな時こそ、自分が普通であることが大事だと思いました。
自分が普通であれば、自分を大切にしていればこそ、本当に必要とされる場面で、被災地のみなさんの力になることができるのではないか、そう思いました。
まして、夫婦という関係は、長丁場です。
自分を大切にしてこそ、相手の気持ちを思いやることができるはずです。
お二人なら、大丈夫ですよね。
本日は、本当におめでとうございました。